Readymade
マルセルデュシャンの作品は既製品を作品として展示し、芸術とは何かを世に問うた。 既製品ですら、アーティストの明確なコンセプトが背後に存在すれば、それは芸術品と呼べる、ということを明示した。 写真とは『すでにこの世に存在する誰でも目にできるもの』をメディアに忠実に写しとる物である。 大抵の場合、『ただ忠実に既成のものを写しとる』という行為により、写真としての役割は十分に果たされる。 しかし、芸術作品としての写真を考える時、ただ既成のものを忠実に写し取っただけの写真では、『ただ既製品をギャラリーに展示する』のとほぼ同じになってしまうのではないだろうか。 写真という既存のものを写し取った『レディメイド』を作品に昇華させるには、作品としての『コンセプト』という裏付けが必要なのかもしれない。 ポートフォリオレビューに参加したり、展示をしたりするときには、作品についての質疑応答のために明確な作品コンセプトを提示しなくてはならず、最初のうち作品についてのステートメントを書くことは非常にやっかいなことに感じていた。 しかし、芸術作品としての写真を探求するのであれば、明確なコンセプトを提示することは不可欠なことだとわかってきた。